「発送電分離」議論の本質を知る|参考資料を集めました

 

 電力と聞くと「脱原発」と反応する人が多いと思いますが、原発を廃止すれば電力料金は必然的に上がり、それを消費者が負担するのは必然です。現状制度では。

 

 しかし、今後それが変わってくるかもしれません。それが「電力市場の全面自由化」と「発送電分離」の議論です。

 

電力市場の全面自由化とは?

 いま、一般家庭や電灯などへの小口の電力供給は、一般電気事業者と呼ばれる東京電力や関西電力などの私たちが思い浮かべる電力会社の独占状態です。

 しかし、それ以外の工場やオフィスなどへの供給は、一般電気事業者以外にも「新電力(PPS)」という業者も担っています。この新電力が参入したことにより、工場やオフィスへ供給される電力料金が競争原理によって下げられたりと、需要家(工場やオフィスなど電力を必要とするサイド)にはメリットがあります。

 

 他方で、一般家庭などへの供給は自由化されていないため、発電コストが高まればそのまま需要家である一般家庭に負担のしわ寄せが来てしまいます。

 

 今後、この電力市場の小口供給(一般家庭等への供給)も自由化が確実視されているため、たとえば「脱原発」によっても料金の値上げにはならないかもしれません。

 

 まぁ、当面は原発を積極的に稼働させる方向で議論は進んでいますが。

 

発送電分離とは?

 上で書いた「電力市場の全面自由化」とは、供給主体の規制撤廃を指しますが、供給する人がどのように一般家庭等に電力を送るかは別の議論です。

 

 実は、現時点で自由化されている工場等への供給において、新電力は東電などが所有する送配電網を使って電力を送り届けています。このとき「託送料」という、簡単に言えば送配電網の使用料のようなものを一般電気事業者は徴収しています。

 

 この「託送料」の定め方はきちんと公にされているものの、内実は随分ブラックボックス化しており、新電力の電力料金を押し上げる要因として批判されています。

 

 そこで、送配電網の所有権や管理体制などを一般電気事業者から分離していこう、というのが「発送電分離」の議論のポイントです。こうすることで、送配電網を利用する事業者の「公平性」や送配電網自体の「中立性」を保ち、公正な競争環境を整えられると期待されています。

 

参考資料のあれこれ

 

 現在の議論や市場の動向については、下記の資料を読み解いていくと勉強になりますのでご紹介します。(『』はPDF資料です。)

 

 

 この当たりの資料を一通り押さえておけば、現状の議論は理解できるんじゃないかと思います。

 

 今後、電力小売市場は大きく変動していきますが、その際に必要なのは幅広い制度理解です。日々変わっていく法制度などをフォローしていくために、宜しければ当事務所の顧問サービスをご利用頂き、メールでの話し合いから、節目の会議での経営戦略の立案などにご活用いただければと思います。