【コラム】利益を創出する法務

皆さんは、「法務」についてどのようなイメージを持っていますか?

 

  • 利益を守るもの
  • 利益を直接生まないもの
  • 交渉する部署・契約をチェックする部署

 

こんな感じでしょうか。

 

実は私も行政書士として仕事を始めた当初は、「法務は利益を守ることはあっても創出することはない」と考えていました。「利益の創出」まで言ってしまうと詭弁(きべん)なんじゃないかと。

 

でも、最近はそうではないなぁと考えています。

以下では、その理由を書きつつ、当事務所の事業スタンスをご紹介させて頂きます。当事務所に相談を検討されている方は、一つの参考にして頂けると幸いです。

 

 

 

「コスト的法務」と「利益的法務」の違い

皆さんは、行政書士に限らず弁護士や税理士などの「士」がつく専門家のサービスを利用するときに、何を目的にしますか?

この点が「どういうサービスがマッチするか」という点に直結します。

 

私は大きく分けて2つのタイプに分けられると考えています。

 

第一に、「手続が面倒だから外注したい」というタイプ(タイプA)。法務も税務も、複雑で社内で専門性を確保するのが難しいので、仕方がないから専門家に依頼する、というタイプです。

 

第二に、「専門的な視点を活かしてベストな行動をしたい」というタイプ(タイプB)。社内で専門性を確保するのは難しく、専門家に外注するしかないのはもちろんだけど、さらに限りある時間で事業に関係する有益な情報を調査・研究するのは難しいので、手続的な外注とコンサルティング的な要素も求めたい、というタイプです。

 

 

【タイプA】コスト的法務 ~下請けとしての利用

仕方がないから専門家に依頼するという場合、当然ですがコストをなるべく下げたいと考えるのが普通です。目的も「この手続をしたい」ってことが決まっているので、当該手続をきちんと代行してくれるなら「安くて」「早い」業者に依頼するのが合理的です。

 

このとき、専門家サイドとしては、クライアントのニーズを超えて「あんなこともこんなこともできます。だからもっとお金を払ってください。」と言ってみても仕方がありません(←こんな露骨なこと言いませんが。笑)。

 

このようなニーズに対しては、「当事務所は他よりもこれだけ安いです」とアピールするのが正しいでしょう。

 

【タイプB】利益的法務 ~利益創出に向けた協働

手続を依頼したいのはもちろんだけど、「より合理的な選択をしたい」という場合、コストよりも価値ベースの判断基準になるでしょう。

 

このときは、クライアント企業の状況を十分ヒアリングし、書類をチェックし、政策の動きや新しい社会的ニーズと法務をマッチングさせることになります。いわば、利益の創出に向けたクライアントと専門家の協働といえます。

 

とはいえ、そのようなタイミングはいつでも訪れるわけではありません。場合によっては、事業が上手くいっていないときに、打開する状況が社会にもない場合だってあります。そんなときは専門家に依頼すると言ってもコストばかり気になってしまいますよね。

 

 

そこで、たとえば当事務所では次のようなコンセプトで事業を実施しています。

 

 

 

◆政策・社会ニーズとの連動を検討しつつ、他のサービスでコスト負担を軽減

以前、顧問サービスについて書いたことがありますが、企業活動に有益な情報は今多く存在します。国の政策として国内企業の活性化は常に最重要テーマですので、企業活動に役立つ情報とマッチングすることはとても効率の良い方針です。

 

しかし、そのような情報がどんなところに、どのような要件で転がっているのか、なかなか見つけるのは容易ではありません。仮に見つけられたとしても、自社がその有益な情報とマッチしているのか判断することが難しく、それを細かく調べていくと、とてつもない時間を浪費してしまいかねません。

 

そこで、当事務所では行政書士顧問サービスとして、クライアントの皆さまの活動を把握させていただきつつ、それに見合う情報をチェックする事業をおこなっています。必ずしも良い情報があるとは限りませんが、自社で情報をチェックするよりも圧倒的に低コストで任せられるという点でお勧めです。

 

また、行政書士顧問サービスをご契約頂いているクライアントにつきましては、通常のスポット業務の報酬を割引させて頂きます。そうすることで、クライアントの方のコスト負担が大きくならないように調整します。

 

 

しかもROBINSシステムの費用もカバーされますので、ROBINS単体で契約するよりもとてもお得になります。なぜなら、ROBINSで企業情報を登録・管理することになるため、その過程で行政情報や社会ニーズのマッチングの基礎となる情報に連動させることができるからです。

 

◆選択を支える法務支援

いわゆる通常の法務といえます。

 

どのように許認可を取れば良いのか、許認可の取得を目指すに当たってどのように行動すれば良いのか、また、契約上の注意点やどのような法務戦略を採れば良いのかという判断を支えることが、この場合の当事務所の役割です。

 

特に、「今どうすべきか」という点がハッキリしていないことの方が一般的です。だからこそ、現在の状況を精査させていただき、合理的な行政手続や契約のあり方を模索するお手伝いをすることが、行政書士としての法務支援の重要な役割であると考えます。

 

◆社会ニーズを創り出す活動

これは私自身についてなのですが、社会ニーズは創り出すものだと考えています。

 

一般的に、事業活動を全国規模で行っている企業は多くありません。巡り巡って全国に市場が広がることはありますが(元請け⇒下請け⇒下請けのようにピラミッド構造の場合)、地域の企業が直接全国をマーケットにして活動していることはそう多くないものです。

 

そうすると「社会ニーズ」といっても全国規模のそれよりも、地域的色彩が濃いニーズが中小企業にとっては重要になってきます。

 

そこで、私は個人的に地域の中間支援組織で、地域的な「社会ニーズ」を作り出すプロジェクトを行っています。それが「企業とNPOのマッチング事業」です。

 

 

今、日本のいたるところで「社会貢献」という言葉がこれまで以上に大きく叫ばれています。「社会起業家」なんて言葉も流行っているくらいです。マーケティングの研究においても、企業活動と社会貢献をうまく組み合わせてイメージアップを目指すことが大きな企業の戦略の一つに位置づけられるようになりました。

 

ただ、社会貢献は従来「富の再分配」として成り立ってきた背景があります。企業活動で生じた利益を社会に還元する、それが社会貢献としての企業の分かりやすい形態だったのです。

 

しかし、今は再分配する富が減ってしまっています。その状況でいくら「社会貢献」を叫んでみても、「・・・そりゃ、分かるけどさ」ってことになってしまいます。

 

今は「社会貢献自体が富を生み出す」必要がある時代です。再分配する富を創り出さないといけない時代なのです。私はこのように考えていますので、中間支援でそのような事業を担当させてもらっています。

 

今後、そのプロジェクトがうまく進んでいけば、たとえば茅ヶ崎市で中小企業が利益に結びつく社会貢献活動をコーディネートすることが可能となります。当然、その時には契約法務や許認可のニーズも増えると考えています。そのときに地域企業がベストな選択ができるような活動を今おこなっているのです。

 

 


 

以上、まとめると行政書士として私が取るスタンスは次のとおりです。

 

 

  1. 政策・社会ニーズとのマッチングを目指した顧問サービスの展開
  2. より利益に結びつく選択を支える法務支援
  3. 地域の社会ニーズを生み出す活動

 

 

とはいえ、「なるべく早く、なるべく安く」というタイプのニーズについても対応させていただきます。大切なのはクライアントが何を求め、私が行政書士としてどのように関わるべきか、をその都度ハッキリさせることだと考えるからです。

 

 

法務は単なるコストではない、それを実践できる事業活動を心がけたいと思います。

 

 

行政書士 北川哲也